過去問・同志社大学商学部(3年次編入試験・2021年度)

貿易論
近年のいわゆる「米中貿易戦争」の経緯と問題点について論じなさい。

解答例(最終更新2021/10/22)
貿易論でみて「米中貿易戦争」とは、中国の国内産業保護政策に対して米国が関税(高税率)で対抗したというものだ。中国の国内産業保護政策とは、中国政府が、特定の国内企業へ補助金を支給することだ。目的は当該産業の発展を促すことである。また市場においては産品の低価格と大量生産を実現しやすくするものである(c.f.補助金による供給曲線のシフト)。しかし産品を世界市場に輸出した段階でWTOが公正とする国際的な商取引のルールに違反する可能性がある。つまり実現した低価格は不当に低価格なものであり大量生産も不当に過剰であると指摘されうる。現実に中国は、鉄鋼などで、米中貿易戦争が取り沙汰される以前からも世界市場を不当な低価格と過剰生産で歪める(c.f.中国 鉄余り)として、不適切な産業保護政策(WTO加盟国でありながらWTOのルールに違反したもの)であると、国際的に指摘されていた。ある国の国内産業保護政策に対して関税で対抗すること(c.f.相殺関税)はWTOが一部認める措置である。しかし2018年頃米国トランプ政権が「一方的な制裁関税」で対抗した事実は、2020年頃に(米国トランプ政権こそ)WTOのルール違反(c.f.一方的措置)であると判断が下った。

2018年当時中国の一帯一路構想に基づく全球的外交への、米国の反応は、「国家安全保障上の脅威」という文脈を省略できなかった。米国第一主義(反グローバリズム)を掲げていた当時米国トランプ政権にとって、おそらくは世界貿易に留まらない中国の躍進を許すことはできなかったと思われる。現に2019年頃米国が日本に要求した「ファーウェイ禁輸」は、中国有力企業のサプライチェーン寸断を企図したものだとして、明確に「同盟国日本」「国家安全保障上の脅威たる中国」というメッセージングで伝達されたものだ。つまり二国間対立(大国間対立)の主だった現場だったのであり、それによって貿易のグローバリズムが反グローバリズムに半ば駆逐されてしまったのである。

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