過去問・明治大学情報コミュニケーション学部(2年次編入試験・2020年度)

問題文(マーゴ・デメロッツ著『ボディ・スタディーズ-性、人権、階級、エイジング、健康/病の身体学への招待』(晃洋書房・2017年)より一部改変)の内容を要約し、具体的な例を挙げながら自分の意見及び論拠を論述しなさい。

解答例(問題文は著作権の関係で割愛)

(要約)身体とは何か。もしも単なる腕、脚、胴体、頭の結合のように考えたならば、私たちは次のことを見落としてしまう。それは、外部の要因(文化的・社会的な経験・歴史・権力関係など)によって形作られる、身体への意味付け(美醜、魅力、異常/正常の判断など)と、それを内面化する(自己の規範、価値として受容する)プロセスだ。身体についての解釈も、身体そのものも、技術的要因(美容整形など)を含む様々な要因で、常に変化していて、この変化の説得を試みる理論家は、身体を、身体が文化的・社会的文脈に立ち入る前の本質的なものとしてではなく、文化的・社会的に構築されたものとして考える。ここで身体には装飾品も含まれる。そして上述のプロセスにマスメディアが大いに関与すると指摘できる。

(意見)賛意する。しかし身体を文化的・社会的文脈で構築するプロセスに関与するコミュニケーションとは、マスコミュニケーションだけでなく、家族、友人、学校や会社の仲間との直接のコミュニケーション(c.f.パーソナルコミュニケーション)も特記に値するだろう。なぜなら、マスコミの影響力とは補強効果(後述)に過ぎないとする文献を参照すれば、マスコミとは内面化の段階で決定的な力を持たないと直感的に考えることができるからだ。

ある文献によれば、1940年のアメリカ大統領選挙において、選挙期間中の放送キャンペーンで支持候補者を共和党から民主党に、あるいはその逆に、変更した人は全体のわずか5%しかいなかった。そして、このことから、マスコミの力は、改変効果(上述)としてはあまり強くなく、補強効果(共和党支持者に共和党に投票させるなど)に過ぎないと考えられた。ここで、たとえば共和党支持者はなぜ共和党支持者なのかという問いに立ち返ると、家族、友人、学校や会社の仲間との直接のコミュニケーションの影響こそ重大だと思い当たる。

装飾品や化粧品は、華美なTVCMの印象が先行するかもしれないが、TVCMに頼らないメーカーがほとんどだ。そして流行は社会的ネットワークに沿った穏やかな情報伝達(c.f.口コミ)の結果である場合が多い。それに装飾や化粧をした自分の外見に納得の行く・行かないは、周囲の同性らの容姿を判断基準にする場面も、時にはあるはずだ。ここでマスコミに、ある身体の意味付けを強力に流布する力があったとしても、それは大統領選の放送キャンペーンさながらに、あくまで既に内面化された意味付けを補強する効果に過ぎず、そして人びとが身体の意味付けを内面化する段階で影響しているのは身近なパーソナルコミュニケーションだと指摘することができるだろう。

参考:『コミュニケーション・入門 心の中からインターネットまで』船津衛著

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA