過去問・中央大学経済学部(3年次編入試験・2021年度)

経済学B
新自由主義的政策によって経済格差が拡大しているという見解があるが、具体例を挙げながら、そのメカニズムを論じなさい。(一部改訂)

解答の着想(最終更新日 2021/12/10)
新自由主義的政策とは、「市場原理の活用」と「小さな政府」を念頭に実施される政策である(c.f.参入規制緩和、民営化など)。公共サービスの民営化で、日本列島遍く提供されていたサービスが、採算の合う地域に企業参入が相次いでいくなど、都市-地方間格差の拡大は直感的なものである。

独占禁止法を正当とするさい「市場に競争があると製品の質が良くなる」とは典型的なプロポジションである。つまり市場原理が働けば財・サービスが品質面でも向上していくと言うことだ。市場原理を素朴に信じる立場である。それに対して、倫理的消費(児童労働など不正企業の廉価販売はボイコットすべき)や、ブラック企業(情報非対称性につけこみ労働市場にフリーライドする(ブラック企業であることを隠して求人を出す)企業)とは、市場原理を素朴に信じないトピックである(c.f.市場の失敗)。

あくまでミクロ経済学的基礎づけを念頭にマクロ経済政策を立案するものとして新自由主義的政策を支持する立場であれば、そのうえで大きな政府を考えることもできる(c.f.働き方改革:正規-非正規の賃金格差とは、正規雇用の長い労働者ほど転職先でも正規雇用されやすい現状を、正規雇用と非正規雇用で労働市場が分断され片方にしか入退出できない実態と捉えることで、格差解消を双方市場の均衡価格(賃金)の差を是正する試みにモデライズでき、ここで双方に入退出する企業(サプライサイド)に同じ価格(賃金)での入場を義務付けたり(c.f.同一労働同一賃金)、労働者(デマンドサイド)の双方市場への入場を促進したりするのである(c.f.正社員登用の促進、限定正社員))。税収からベーシックインカムを支出することは、ケインズ経済学(政府支出の乗数効果)と新自由主義的政策の両方の立場から支持が可能である(ただしベーシックインカムを市場原理主義的とみなすことは結果的に労働市場での競争が促進されると見抜く慧眼を要する)。

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