過去問・嘉悦大学経営経済学部(3年次編入試験・2022年度)

GO TOキャンペーンは日本経済にどのような影響をもたらしただろうか。客観的な視点で分析し自分の考えを800字以内で述べなさい。

解答の着想
コロナ後に予想される大不況で、家計の所得減から、所得弾力性の高い業界(後述)で大きく需要が減る可能性があった。特に旅行、飲食、イベントなどの多くは零細企業や中小企業が供給者であるため、日本で企業が大量倒産しないようにするためにGO TOキャンペーンは必要な政策だと考えられた。
2020年1月から11月までの旅館とホテルの倒産件数は111件。リーマンショックで景気が冷え込んだ2008年や、東日本大震災で旅行需要が低迷した2011年より低い水準だ。
持続給付金等の一律の支給では、市場で競争力のない企業を温存させることにもつながる。その点でGO TOキャンペーンは、企業に競争のための努力を促す政策でもある。オンライン化に乗り遅れがちだった旅行業界、以前から供給過剰だった旅館業界や、廃止された旅館がホテルに建て変わる新陳代謝が遅れていた宿泊業界など、サプライサイドには改革の一定の必要性があった。GO TOキャンペーンを経て実際にサプライサイドで改革が促されたかは現時点で未知数である。
マクロでみた景気浮揚効果は、2021年11月時点で直接効果2.8兆円、波及効果を含めると3.7兆円の規模だったことがわかっている。GO TOキャンペーンの予算が1兆6794億円であったことから、政府支出が国民所得に上手く分配されたとみなせる。大量倒産を防ぐという目的に対して有効な政策だったと認めることができると思われる。

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