過去問・東京女子大学現代教養学部国際社会学科社会学専攻(3年次編入試験・2018年度)

都市化について社会変動論の視点から説明し、地域間社会移動との関連を述べなさい。

解答例(最終更新2020/1/7)
農村の労働力が都市に流入して起こる都市化は、典型的な地域間社会移動だ。しかし農村の労働力が速やかに都市の労働力となるには、都市に生産手段の無くとも働ける社会を前提とする。それは生産手段を持つ者が持たない者を雇用し働かせる近代資本主義的な階級社会の成立がわかりやすい。たとえばそのような社会変動と上述の都市化が現に符合した事例に18世紀後半から19世紀にかけての産業革命期イギリスが挙げられる。なお当時その都市化に伴う人口減少で生産性の向上が求められた農村では、資本主義的農業経営が行われるようになった。ここで農村の人口過不足など都市化に影響するというよりは、むしろ都市に対して従属的な農村、都市で起きた変動に後から農村が対応する、という関係性を考えることができる。(補足有)日本の昭和高度経済成長期に起きた農業の機械化(都市の技術革新の農村への伝搬)や、中国農村部の余剰労働力問題(農村の人口が都市に流出し切らない)などからもそのように考えることができる。

(補足:最終更新2020/1/7)
都市化について。都市化にはpull型の都市化(都市に雇用を求めて農村から人が来る)と、push型の都市化(農村の人口が溢れて都市に人が来る)がある。上記では、pull型の事例(産業革命期イギリス、日本昭和高度経済成長)と、push型が停滞した事例(中国農村部の余剰労働力問題)を論って「都市に対して従属的な農村(まず都市で変動が起き、それに農村が対応する関係性)」を考察している。ただし、push型の都市化も現実に存在し、現代アフリカなどで見受けられる。たとえば父親の土地を複数人の息子で分割相続すると彼ら世帯が飢えるため、仕方なく都市で生きようとするなど。【参考:『人間の営みがわかる地理学入門』著)水野一晴、ベレ出版】

都市と農村の関係性について。ベトナムの工業化・近代化期を事例とする文献で「社会発展の軌跡についての一般的な理解は、工業化に伴う農村人口の都市への大量流出、農業人口の減少と職業の多様化といった変化のなかで、農村社会(=伝統的農業社会)が都市社会(=近代的工業社会)に吸収され、社会全体が近代産業社会へと変容していくというものである。」という記述がある。文献では都市-農村間だけでなく都市内、農村内格差に注目し、都市上層、都市下層、農村上層、農村下層の四つに分け、農村下層から都市下層への移動(出稼ぎ)以外については社会の特徴による(たとえば高等教育の農村普及で農村下層から都市上層への移動が起こりうる)と説かれた。【参考:『工業化・近代化に伴う農村社会変動――ベトナム社会把握の枠組みに関する試論』著)荒神 衣美】

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA