過去問・関西大学商学部(3年次編入試験・2018年度)

商学

「インターネットで注文を受け付けて自社の製品を直販すれば、流通の経費を省けるから消費者に安価に製品を供給できるはずだ」という主張に対して、卸売業や小売業が存在することの意義を説きなさい。

解答例

卸売業者や小売業者の存在意義を論じるさい、彼らが在庫を保有し、在庫について専門的な知識をもつ事実は重要である。消費者が、一度の購買で多種類の品物を少数ずつ欲するのに対し、生産者は、一度の生産で少種類の品物を多数生産する(c.f.規模の経済)。ここで中間業者が、生産者達から品物をいったん買い取り、多種類多数の品物を在庫として保有し、消費者達に販売すると、需給のすりあわせは円滑である。
また消費者が商品を、品質などの観点で、信頼するに足るかを独力で判断するには多大なコストがかかり、ここで当該商品群に詳しい中間業者が存在すると、その改善が期待される。
ここで生産者が中間業者を頼らないとは、つまり少種類の品物の在庫を多数抱えるコスト、そして消費者と直接の信頼関係を構築するコストを支払うことになり、むしろそのぶん割高になる可能性もある。ここで直販とは、一概に優れた販路とは限らないだろう。

【参考:『現代商業学入門』p43-p45 宮澤,十合 編著】

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