過去問・ お茶の水女子大学生活科学部人間生活学科(3年次編入試験・2018年度)

「少子化」が社会、経済に与える影響を評価した時に、あなたが最も重要だと考える課題を一つ挙げて、その内容を説明しなさい。記述の際、あなたが選んだ課題が、他の課題と比較して、どうしてより重要なのか、分かるように書きなさい。さらに課題に対する政策を論じなさい。(一部改訂)

解答例(最終更新2021/2/12)
「少子化解決のため、女性は速やかに結婚をし、そして出産をすればよい」などの言説が、公的空間、私的空間を問わず散見され、含意として女性社会進出への批判(c.f.産む機械発言)がある。しかしこれは解消されるべきだ。その理由は、まず女性社会進出とは社会に有益なことだ、女性社会進出が進むほど少子化関連課題である社会保障財源確保や労働力人口確保に一定の解決が期待される。それに加えて、女性の社会進出とは1980年代以降の政府政策(c.f.男女雇用機会均等法)で促されてきた、いわば世の女性に対する約束であり、上述の言説が社会で流布することは裏切りなのである。

そもそも女性社会進出と少子化解決が対立する(c.f.大卒女子、晩婚化)理由は、女性が、家族の世話人として生きていたいと考えようと、あるいは社会で活躍したいと考えようと、いずれにせよ家族の世話人として責任ある立場を果たすべきだという固定観念がまっているからだ。これについては遡ること1960年代(高度経済成長期)以来の「女性は家族の世話人として責任ある立場だ、そうすることで男性が仕事に専念でき経済が発展する」という考え方を社会が脱ぎ捨てていないからだという指摘もある。現実に多くの女性が結婚を機に離職をする(c.f. Mカーブする女性の労働力率曲線、女性の非正規雇用)。結婚-出産-育児という人生の重大な出来事の連続にも関わらず、女性が働き続けることができ、またキャリアを積むことができる、そのような職場は、まだ少ない。

少子化解決と矛盾なき女性社会進出とは、上述の問題の解消を意味する。具体的には、未就学児の世話を含めた家庭内の家事労働と、収入を得るため企業で働くこととを、夫婦で分業するだけでなく、選択肢として夫婦両立(男女ともが両方をこなす道)もあるべきだ。そうすることで、女性のキャリア形成も結婚-出産-育児と両立でき、それを可能にするための施策としては男性の残業時間の削減を提案したい。現状、男性と女性では圧倒的に男性が残業している。この実態をそのままに、たとえば裁量労働制を拡大(c.f. 働き方改革)しても男性は職場から十中八九、解放されないだろうし、おそらくより拘束されるのだろう。そこで労働時間上限の例外なき厳格化と、残業の可否を評価に直結させない規範づくりの推進は重大だと私は考える。そして政策の目的が家族の世話人という新しい男性像の実現であると、政府が公表すべきなのである。父母とも家族の世話人で、かつ働き手、そのような家庭を望んだとき、それが実現できる社会であるべきなのだ。

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