国際社会を理解するキーワード・用語68(中学公民+)

国際社会を理解するための必須キーワード集です。中学と高校の授業で習うものです。難易度が無印の用語と解説の出典は中学公民から、難易度が+印の用語と解説の出典は高校公民科から。まず中学公民で出る用語を網羅し、それらに関連する高校公民科の用語を追記しました。そのため高校公民科で習う用語としては一部のみ出典しています。大学教養レベル(徹底マスター)に接続することを目的に制作しました。

用語 解説 難易度
インターネット インターネットの普及は、社会で情報の価値を高めた。
グローバル化 人、もの、お金、情報が国境を越えて行き来し、やがて国境を超えて地球規模で移動するようになること。世界の一体化とも言う。各国の競争や分業で国どうしが依存し合い世界が成り立つこと。グローバル化の進展で、多様性が対立の原因になることもある。
多文化共生社会 互いの個性、地域の文化、国の特徴を大切にする社会。
国際分業 世界各国で貿易が盛んになり、自国が得意なものを輸出し、不得意なものを輸入する傾向が強まること。
垂直的分業 先進国と発展途上国との間で、工業製品と一次製品を交換すること。
水平的分業 先進国間で工業製品を交換したり、発展途上国間で原材料を交換したりすることなど。
比較生産費説 自国と相手国で相対的に生産コストの低い商品に特化することで双方の利益になるとする説。(リカードが唱えた)
自由貿易主義 貿易に国家や政府が干渉しないこと。(アダム・スミスとリカードが唱えた)
保護貿易主義 国家が外国産の輸入を制限して、国内産業で当該品目の生産を保護育成すること。(リストが唱えた)
関税 輸入品に課す税のこと。高く設定するほど国内で高価格になる。国産品と輸入品を同等の価格にするために用いられる。
最恵国待遇 ある国に与えた関税上の利益や特典は、他の全ての国にも適用されるという原則のこと。
非関税障壁 関税以外の方法で輸入を抑制しようとすること。
国際収支 1年間で行われた国際的な経済取引を貨幣額で表したもの。
経常収支 国際収支のうち経常収支とは、「商品の輸出入、外国と輸送・旅行・その他サービスで取引した分(貿易・サービス収支)」、「海外の企業で働いた賃金の支払い、海外の企業等への証券投資によって得られた利子・配当金(第一所得収支)」、「個人「間での移転(第二次所得収支)」の三つを合わせたもの。
海外直接投資 企業買収など経営権を確保する目的でなされる投資、海外の工場建設、不動産取得に向けた投資の収支のこと。
外貨準備 通貨当局が為替介入を行ったり、金融危機の際に他国へ外貨建て返済が困難になったりしたときのための準備資産の収支。
変動相場制 アメリカで財政赤字とインフレーションが進み、国際収支は赤字となり、1971年には遂に貿易収支も初めて赤字となった。アメリカの金保有量はドルの金換金に応じられないまでに減少し、ドルを基軸通貨とするブレトン・ウッズ体制の維持は不可能になった。米ドル紙幣の金との兌換一時停止(ニクソンショック)の後、1973年にはほぼすべての先進国が変動相場制に移行した。
貿易摩擦 貿易をめぐる経済上の摩擦のこと。安価だったり高性能だったりする外国製品が輸入によって国内市場に入ってくると打撃を受ける国内企業が出てくることもある。また貿易収支の不均衡(どちらか片方が巨額の赤字となること)によって為替や株の動きに悪い影響が出てくることもある。あるいはそのような因果関係を貿易摩擦に求める考え方のこと。
主権国家 外国から干渉されず独立して自国を治めることができる権利を持つ国。国際社会は主権国家によって構成されている。主権国家は、領域(領土、領海、領空)・国民・主権の三つの要素から成り立ち、国旗と国歌を持っている。
排他的経済水域 領海の外側で、海岸線から200海里までの範囲のこと。
国際法 国際社会での平和と秩序を守るためにつくられてきた国家間のきまりのこと。国際慣習法と条約に分けられる。
国際連合 1945年6月、サンフランシスコ会議で採択された国際連合憲章に基づき、同年10月に発足した国際機関。国際連盟よりもさらに強く世界の平和と安全を維持することを目的とする。
国際司法裁判所 国際法に従い国家間の紛争についての裁判を行う国際連合の機関のこと。加盟国から依頼された、条約の解釈や国際法上の問題に関する紛争についての裁判を行う。
安全保障理事会 アメリカ・イギリス・中国・フランス・ロシアの5か国の常任理事国と10か国の非常任理事国から成る。常任理事国は拒否権を持つ。国際的な安全をおびやかす国に対して、経済制裁や軍事行動などの強制措置を加盟国に求める、集団安全保障の考え方をする。
総会 年1回定期的に開かれる国際連合の中心的機関のこと。全加盟国が参加し、一国一票を持つ。
平和維持活動(PKO) 紛争地域に派遣され、停戦や選挙監視など平和を保つことを目的とする活動のこと。
多国籍軍の派遣 安全保障理事会の決議を受けて、各国が任意に提供した軍隊から組織される多国籍軍で、軍事提供国の責任において責任を行うこと。
UNICEF 子どもの権利条約に基づき、子どもの育つ環境確保のために活動する総会の補助機関のこと。
UNESCO 世界遺産の登録など、教育や文化などの面から世界平和の貢献を目指す専門機関のこと。
ILO 世界の労働者の労働条件の改善を目的とする専門機関のこと。
地域主義(地域統合) 利害関係が一致する国や地域が関係を強化することによって利益を追求するという考え方のこと。グローバル化で世界市場をめぐる競争が進む中で、地域としてまとまること。
ヨーロッパ連合(EU) ヨーロッパの一体化を目指し、1993年に発足した。単一通貨ユーロの使用や人々の自由な移動を促進した。2009年にユーロ危機が発生した、原因はギリシャの財政状況の悪化。加盟国間の経済格差や、仕事を求めて裕福な国に移り住む移民の増加が問題になった。
BREXIT 2016年イギリスでEU離脱の国民投票が行われた際、離脱支持が52%だったことで、イギリスはEU離脱の方向になったこと。2020年にイギリスはEUを離脱した。
東南アジア諸国連合(ASEAN) インドネシアなど10か国が加盟し、1967年に設立した。日本・中国・韓国を加えてASEAN+3と呼ぶこともある。
アジア太平洋経済協力(APEC) 日本を含め12か国で1989年に発足した。アジア太平洋地域における地域経済協力を目指す財務相・外相会議
環太平洋パートナーシップ(TPP) 2010年に開始した、太平洋周辺の国々で、人、もの、お金、サービスの移動をほぼ完全に自由にするという国際協定のこと。
日欧EPA 2019年発行の日本とEUとの経済連携協定(EPA)で関税撤廃・削減や知的財産権をめぐってルール構築が行われている。
北米の自由貿易協定 1994年に北米自由貿易協定(NAFTA)発効。その後、2020年にアメリカ・メキシコ・カナダ協定(USMCA)発効。
南米南部共同市場(MERCOSUR) 1991年、ブラジル・アルゼンチン・ウルグアイ・パラグアイの4か国が結成した、域内関税の原則撤廃と域外の共通関税のための関税同盟。
国際協力 各国が協力し合い世界で起きている問題に取り組むこと。地球環境問題、人口増加と高齢化、貧富の格差などの国際的な問題を各国が協力して解決すること。
政府開発援助(ODA) 発展途上国の経済開発や福祉向上を目的としておこなわれる、資金援助、技術協力、国際機関への出資・拠出や条件のゆるい借款のこと。先進国が発展途上国へ技術協力をすることで、発展途上国の技術的な自立が可能となり、現在だけでなく将来にも役立つ技術が残る。
青年海外協力隊 1965年に発足した、発展途上国援助のために青年が派遣されるボランティア活動のこと。
NGO(非政府組織) 非営利で自発的な社会貢献活動をする市民ボランティア団体のこと。
東西の冷戦 1989年の「ベルリンの壁崩壊」と「マルタ会談」で終結したが、その後も民族紛争・内戦・テロリズムなど地域紛争が各地で発生した。
難民 民族紛争の場合、多数の難民が発生。シリア内戦では35万人以上が死亡、550万人以上が難民になった。
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR) 難民が祖国に戻れるよう、保護や救援活動を行う。
核拡散防止条約(NPT) 1968年に調印され、1970年に発効した、それまでの核保有国であるアメリカ・ソ連(ロシア)・イギリス・フランス・中国の5か国以外が核を保有することを禁止する条約。
第1次戦略兵器削減条約(START I) 1991年にアメリカとソ連が調印した条約であり、これは核兵器の数を減らす努力である。
包括的核実験禁止条約(CTBT) 1996年に国連で締結された、地下核実験を含むあらゆる核実験をおこなわないとする条約。
民族 世界には様々な民族が存在していて、さまざまな価値観の中で多様性を認め合い民族が共存する姿勢が大切である。
宗教 国内で複数の宗教・宗派が対立することもある。イスラエルとパレスチナの間では激しい対立が起きている。
キリスト教 「聖書」の教えや教会の活動が、人々の日常生活に入り込んでいる。
イスラム教 「クルアーン(コーラン)」の教えが、人々の日常生活や国の活動の規範となっている。
文化の多様性の理解 意見の違いがある場合は、他の文化を理解し尊重する寛容さが必要である。
人間の安全保障 単に紛争や暴力がない状態だけではなく、すべての人々が人間らしく安心して生きる社会を目指す考え方。
南北問題 北半球に先進国が集中し、南半球に発展途上国が多く、経済の格差があること。
南南問題 南半球の発展途上国でも、新興工業経済地域(NIES)やBRICS諸国と、その他の発展途上国との間で経済の格差があること。発展途上国のなかで資源のある国とない国の経済の格差も典型的な南南問題である。
栄養失調と飢餓 アジアやアフリカの貧しい国々では、国内の政治が不安定で、天然資源にも乏しいことなども原因となって、1人あたり1日2ドル未満での生活をしている。そのため栄養失調や飢餓に直面する子どもたちもいる。
フェアトレード 発展途上国の人々が生産した農産物や製品を労働に応じた公正な価格で取引し、先進国の人々が購入することを通じて、発展途上国の生産者の経済的な自立を目指す運動。
マイクロファイナンス 発展途上国の人の自立を促す金融のこと。絶対的貧困層に対する無担保の少額融資は特にマイクロクレジットと呼ばれる。
持続可能な開発目標(SDGs) 2015年国連総会で採択された。地球上の誰一人取り残さないことを誓っている。

  • 「つながる」ことを大切にする未来
  • 「つづける」ことができる未来
  • 「つりあう」ことで構築される公正な未来
  • 「つつみこむ」ことでさまざまな他者を認める未来

という四つの視点で持続可能な未来を考えること。現代の世代の幸福を満たしながら、将来の世代の幸福を満たすような持続可能な社会をつくる必要があるということ。一人ひとりが社会に貢献する社会参画が大切である。

地球温暖化 温室効果ガスにより地球の気温が上昇すること。太陽光発電と風力発電には発電時の二酸化炭素排出が無いという共通の利点がある。
原子力発電所 事故を経て脱原発に舵を切った国と、原発を推進する国との間に亀裂が生じている。2011年の東日本大震災による、福島第一原子力発電所の事故では放射性物質が飛散し、多くの人々の生活に影響した。安全性や放射性廃棄物の処理が問題となっている。
化石燃料の大量消費 石炭・石油等は、先進国だけではなく発展途上国でも消費が増加している。資源に限りがあり、不足する。また二酸化炭素の排出量が増え、地球温暖化が進む。日本の発電量の8割は化石燃料であり、輸入に頼っている。
再生可能エネルギー 太陽光・風力・地熱・バイオマスなど。発電量が天候に左右されたり、かかる費用に対して発電量が少ないなど欠点がある。
国連人間環境会議 国連初の環境に関する会議。1972年、スウェーデンのストックホルムで開催された。「かけがえのない地球」を守る。
京都議定書 1997年の地球温暖化防止京都会議で採択された。先進国に温室効果ガスの排出量削減を義務づけた。経済活動が活発な中国・インドは義務づけられず、アメリカは条約に批准しないなど不十分なところがあった。
パリ協定(2015年) すべての国に温室効果ガスの削減を義務づけた枠組み。

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