時事問題:日本経済再生

物価上昇に見合う賃金上昇(3%~5%のベースアップ)を求める春闘が始まった。消費者物価指数は2022年11月に前年比3.7%上昇し、1981年12月以来の高い伸び率となった。企業物価指数は2022年11月に前年比9.3%上昇した。今の日本の企業経営者は、慢性的なデフレマインドを患っていて、賃上げに対しては発想を転換しないといけない。「失われた30年」という用語が示すような長期不況(長期デフレ)で日本の平均賃金は主要先進国と比べても下がる一方だ。大手企業の賃上げを中小企業に波及させるには、大手企業は下請け企業との取引で価格転嫁(下請けの中小企業に、生産コスト上昇分の負担を一方的に押し付けることなく、取引価格への適正な転嫁を認め(つまり大企業が資力を下請け企業に与えて))、中小企業が賃上げの原資を得られるようにすべきだ。国内雇用の7割を抱える中小企業の賃上げは、日本経済再生の鍵を握る。

財政は防衛費や社会保障費に加えて、脱炭素化や少子化対策にも多くの支出が必要になる。それと同時に日本経済は未曽有の低成長に突入している。日本の国と地方の基礎的財政収支(PB プライマリーバランス)の赤字が拡大している。デジタル化の推進の効果もまだはっきりと表れていない。確かに製造の現場では自動化や無人化が進んだ。しかしオフィスやサービス業ではデジタル化が不十分だ。大企業と中小企業の生産性の格差も目立つようになってきた。デジタル化や脱炭素化の取り組みで伸びる産業に労働力が集約させることが、雇用の回復と言う目的に従って良いことだろう、つまり柔軟な労働力の移動は急がれるのではないだろうか。

脱炭素化を進めることは、産業構造転換の国際競争でもある。脱炭素化で注目される再生可能エネルギーと核エネルギーである。政府は原子力発電所の建て替え(リプレース)と再稼働を念頭に置いて、核エネルギーを今後継続して頼る意向がある。しかし核エネルギーは世代間倫理の問題もある、いつの間にか原発事故を引き起こさなければよいという価値観にすり替わってしまった。また原発は40年から60年間の長い時間をかけてコストを回収する巨額の投資でもある。投資とみたときに核エネルギーよりも短周期的な、再生可能エネルギーにより多く投資すべきだという意見もある。原発を含め、日本政府が2022年12月に示した「GX(グリーントラストフォーメーション)基本方針」を、日本政府による「150億円の投資戦略」と考えたとき、戦略性が欠けるという専門家の指摘がある。脱炭素化の過程で、つまり産業構造転換の過程で生み出されていく要素技術のすべてが商業化(経済の一部になる)わけではないうえで、投資先の緻密な絞り込み(投資のリターンが大きい企業に絞って支援すること)は重大だと言う意見もある。

短期的な日本経済再生と、長期的な日本経済再生の歯車が複雑に噛みあっているいるなか鋭敏な判断をしなければならないことがわかるだろう。

金融緩和策の転換が行われる可能性もある。金融緩和(量的緩和策)を継続するよりも、物価上昇と賃金上昇とを注意深く見守る方策へ転換する可能性がある。しかし長期金利の利上げなど金融政策の「解釈」のほうが錯綜することを日本銀行としては最も避けたい、そのような意図が伺える。実際、多くの企業が保有する国債の価格や流通量をめぐっても長期金利引き上げには慎重論がある。

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