学外から編入生を受け入れる大学としては日本最高峰の京都大学ですが、2017年度入試問題は決して難問ではありません。基本的なことをしっかりと学習していれば解くことは十分可能です。
財の需要関数は、効用最大化条件から簡単に導出できます。財Xの需要曲線とは、財Xの数量と価格の関係式です。だから式に、それ以外の変数、たとえば財Yの数量と価格を示す変数が含まれていると、不正解になります。この問題では財Yの限界効用と価格が定数であるため、導出の過程で自然とそれらが消えるので大丈夫です。なおたいていの問題で、需要関数は、効用最大化条件と予算制約式との連立方程式を解き求めます。
実際にある価格と数量で財Xを手に入れたときの消費者余剰は、その効用と、仮にすべてを価値尺度財(ここで財Y)に費やしたときの効用との、差分です。それを知っていれば2問目は効用関数に諸々を代入してすぐに解答できます。
難しい問題に感じられるかもしれませんが、3問目は、個人1と個人2の需要曲線から総需要曲線を計算して、供給曲線との交点を求めるだけです。需要の価格弾力性も教科書通りに計算すれば導出できます。
4問目は、公共財の限界評価という用語を知らないと解けませんが、要は限界効用のことです。個人1と個人2について限界効用を計算して、その和が公共財Xの限界費用と等しくなるとして方程式を立てて解くだけです。
余談ですが、私が在学していた頃の筑波大学社会工学類で、ミクロ経済学のレポートがこれくらいのレベル感だったと思います。京都大学編入生は、何も見ずに筑波大学のレポート課題を仕上げられるレベルといったところでしょうか。そう考えると妙に納得してしまいます。