時事問題:地域活性化

岐阜県飛騨市は「人口減少先進地」と自らを位置付ける。アニメ「君の名は。」の聖地巡礼のファンが来訪していた頃から、市に心を寄せてくれる人の「見える化」を目指していた。人口減少を不可避と受け止め、地域の困りごとを交流資源にする発想の転換で、関係人口(継続的に多様に関わる人口。定住人口と交流人口(観光客など)との中間の関わり合い方をする人の数)を増やしていこうとして、「ヒダスケ」を取り組みとして始めていた。ヌシと呼ばれる、地域の課題解決で力を貸してほしいと依頼する地元の人と、ヒダスケと呼ばれる、手助けしたい市内外の人の交流事業だ。たとえば農家の農園に市外の大学生らが行き、ダイコンを輪切りにしてかまどで30分間ゆでるなど手伝った。農園は「村を知ってもらう機会になる。」と好印象。大学生らも「観光以上の体験ができた。」と喜んでいた。(2023年2月2日読売新聞紙面より)

自治体間の競争は一概に良いものとは、確かに言えない、たとえば子供の医療費無償化で、A市は小学校に入るまでだから、隣のB市も小学校に入るまでに引き上げるなど、このような競争は問題視されている。別の分野に財源を割り当てることが難しくなるからだ。ヒダスケの取り組みは、必ずしも金銭的価値に置き換えられない質的な競争だ。しかし、関係人口を根拠に公共サービスは拡充されるだろうか、病院が増えたり、バス停が増えたりするだろうか。また、質的な競争と言ったが、質的な競争であっても劣後する自治体は必ずでてくる。政府の役割は、たとえばヒダスケの取り組みで飛騨市が活性化することをうまくサポートすることに違いはないが、都会からアクセスの難しい地域はそれ以上にサポートが必要になってくることを忘れてはいけない。

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