リーダーシップを発揮しやすいリーダー
コミュニケーション
現場でコミュニケーションをとらない複数の従業員に対して、彼らとコミュニケーションをとる従業員は必ず必要になります。仕事を抱え込んでしまう(自分の仕事は自分でやるものだと思っている)従業員はコミュニケーションをとらない従業員の典型例です。ここで注意したいのは「とれない」「とることができない」「うまくいかない」という言葉の表現をあえて避けたことには理由があって、なぜなら業態によっては原則自分の仕事は自分でやるものだと決まりきっているからです。職場環境としてコミュニケーションをとらない従業員が大多数を占めることもあるわけです。しかし倉庫内にせよフロア内にせよ、現場を見渡せば必ず責任ある立場の者がいてコミュニケーションをとる役割が任されていますね。
リーダーの役割
リーダーの役割は従業員のコミュニケーションを引き出すことと、仕事の活力を与えることです。従業員が活力をもって仕事をしているほどパフォーマンスのよい職場ということになります。「仕事は苦しい」、「仕事は仕事」、「仕事は面白い」のなかでは、「仕事は面白い」という人が最もリーダーの役割に向いています。リーダーにとって致命的であることは、「なぜ〇〇さんこの会社で働いているのですか?」と聞かれてしまうことです。フロアを上から眺めるリーダーよりも、下に降りてきて皆と一緒に昇る努力をするリーダーのほうが望ましいです。従業員のタスクや目標を絞り込んであげる感覚が大切です。
フィドラーのコンティンジェンシーモデル
1964年にフィドラーが提唱した「コンティンジェンシーモデル」とは、リーダーシップのスタイルは置かれている組織などの状況によって異なるというものです。
1.リーダーが組織のメンバーに支持されている度合い
2.仕事や課題の明確性
3.リーダーが部下をコントロールする権限の強さ
フィドラーはこれらの状況変数が高ければリーダーシップを発揮しやすいとしました。上述した理想のリーダー像は、リーダーシップを発揮しやすい状況を自ら進んで生み出すリーダーを描いたものだと言えるでしょう。コンティンジェンシーモデルとは、「リーダーシップとは状況による」、「あらゆる状況でも強い唯一神のようなリーダー像は特定できない」というものです。リーダーシップを発揮しやすい状況を作るリーダーとはコンティンジェンシーモデルに整合的なものです。
条件適合理論
条件適合理論とは、行動理論(リーダーシップ行動論)が示すリーダーシップが、つまりリーダーの行動を分析することでリーダーシップを再現することを目的とする行動理論によって優れたリーダーだと考え出されたリーダー像が、実際に優れたリーダーであるかは環境(状況)にマッチしている必要があるとする考え方です。コンティンジェンシーモデルとは、条件適合理論という領域の中にある一つのモデルということになります。リーダーシップを発揮しやすい状況を作るリーダーとはコンティンジェンシーモデルに整合的なものでしたが、それが無条件に善いもので間違いのないものだと考えるのであれば、条件適合理論と整合的でないものとなります。コンティンジェンシーモデルのモチベーションとも整合的でないものになります。
行動理論(リーダーシップ行動論)
PM理論
PM理論とは、行動理論の一つで、目標を明確に示し、成果をあげられると共に集団をまとめる力もある理想型リーダー像を説いています。個の力としても成果をあげることができる(能力者である)ことを理想的リーダー像の中に取り入れています。
マネジリアル・グリッド論
マネジリアル・グリッド論とは、行動理論の一つで、リーダーシップの行動スタイルを「人間に対する関心」「業績に対する関心」の観点から区分するリーダーシップ論です。
ケーススタディ
リーダーシップにおける性差
男性のリーダーは自信家、野心家でアメとムチを使い分けることが上手です。女性のリーダーは他者に共感することに慣れていて内発的動機付けが上手です。このようなことが経験的に分かってきました。
大企業と中小企業の違い
有名な経営者が伝説的にもてはやされることもありますが、あまり日本企業は、中間管理職を含むリーダーという役割に、カリスマ性を求めないと言われています。男性的なアメとムチを使い分けるリーダーが多いものです。しかし日本でも中小企業であればカリスマ性の高いリーダーは珍しくありません。カリスマ性の高いリーダーは内発的動機付けが上手です。