過去問・関西大学社会学部社会学専攻(3年次編入試験・2021年度)

問題文
新型コロナの感染がまだ収まらない中、社会に様々な影響が出てきていますが、短期的ではなく中長期的に見た場合、どのような社会的変化が生じてきそうかについて論理的に推測しなさい。


解答の着想

政府による解決が求められた問題 関連してコロナ禍で起きたこと
阪神・淡路大震災 経済弱者ほど大災害で大きな打撃を受けるというセーフティネットの問題 給付金が支給された、しかし企業で非正規雇用労働者の雇止めが起きた。
東日本大震災 様々な「危険」に関する情報が正しく共有されていないという問題 新型コロナウイルス接触確認アプリが開発された、しかし政府への不信感などもあり低い普及率で終わった。

政府と当局は、過去の災害を反省し改善を試みる。しかし国民や企業は、政府への不信感や、市場で競争に晒されている現実などから、問題に対して厳格なルールが成立しないと、自由奔放な行動をとる。政府と当局は企業や国民の行動を規律できない。たとえば夜間外出は、当初は自粛する者も多かった。しかし、次第に夜間外出の自粛率は低下した。その一方で、マスク着用は数年間厳格に普及した。

阪神・淡路大震災後の耐震工事、国民の防災意識の芽生えや、東日本大震災後の再生可能エネルギーの普及など、産業界が速やかに対応し国民意識に影響したもののほうが、長期に渡って残り、日本社会の動向を長期的に推測するうえで妥当性がある。

業務の効率化(自動化やデジタル化)は大手企業と中小企業の間の格差を広げたという見方もある。しかし、ソーシャルイノベーションとしてIT業界などが牽引する形で、市場を形成するだろう。そして長期的には中小企業を含めた日本企業社会に浸透すると思われる。無駄を省く社会が目指されるだろう。

■外部サイト DX推進に向けた課題、大企業と中小企業でどう違うのか?

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