過去問・駒澤大学経済学部経済学科(3年次編入試験・2018年度)


財政の3機能について、それぞれ説明しなさい。

解答例(最終更新 2022/4/30)
資源配分機能とは、公共事業(公共サービス)の売手(供給)として政府を考えたとき、公共事業の財源を税制(や公共料金)で賄うこと、つまり公共事業の受益者(ex 市民、高速道路利用者など)に主立って負担者の役割を果たしてもらうことが、最も理解しやすいだろう。市場機構が未整備ながらサプライヤが差し迫って必要であれば、一定のサンクション(税制や公共料金)の下で買手にそれを強制できる受益者(ex 市民、高速道路利用者など)に支払いを求めながら、公共事業という形で執り行うことになるだろう。市場機構が整備されていながら、市場の失敗で生じる資源配分の非効率とは、資源配分の最適な状態を、市場では達成できず逸していることと意訳されることもある。市場均衡の価格と数量を(※ここで規制という表現は意図的に避けた、なぜなら依然として価格と数量が市場参加者の意思で決定する場合においても以下に続く内容が成立するからである)、税制を操作して、最適な状態に導こうとすること(c.f.社会的費用とピグ―税)、たとえばそのように課題を市場に内部化したうえで、市場で資源配分の効率を達成する際にも、財政の資源配分機能が働いたという文脈に相当する。外部負経済を市場のアウトサイドに置いたまま、かつ政府が直接に課題解決のサプライヤとならない事例も存在し、たとえば駅清掃業者への許認可などあるが、財政(税制)という形で執り行うものはあまりないだろう補助金という形であれば税制が援用されることもあるだろう。

かラスマタケオ

2022/4/30 私にて少し修正しました。主張に変更がある箇所のみ添削痕を残しておきます。「外部不経済の内部化」を「市場で最適な状態を逸した」と「意訳する」という日本語表現は私からも推させてください。思想的な背景に新自由主義があるとすれば、思想をオーバーラップするような、あるいは俯瞰するような立場、目線であれば「意訳したものだよ」という説明になると思いますよ。
■補論:公共財のジレンマ
水産資源は乱獲で枯渇する。漁業者が水揚量を抑制(自主規制)すると水産資源は保全される。しかし他の漁業者が水揚量を抑制していることをよいことに、ほんの一握りの漁業者が乱獲をすると彼らは(水産資源保全が維持されたまま)自分達だけ多く利益を得ることが出来てしまう。公共財とは、非排除性(消費者を限定できない)と非競合性(ある消費者の消費が別の消費者の消費量に影響しない)の二つを満たす財・サービスを言う。水産資源の例で、非排除性とは特定の漁業者を水産資源から締め出すことが出来ない(会員制に出来ない)ことを言う。また非競合性とは特定の漁業者の乱獲が直接にその他の漁業者の水揚量を減らすことを言う。水産資源は非競合性の条件は満たしていないため、コモンプール財(非排除-競合)と呼ばれる。

所得再分配機能
⇒累進課税制度を参照

景気安定化機能
⇒ビルトインスタビライザーを参照

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