※2022年10月に観測された円安に関する記述です。
円安は困ります
これが多くの大学で出題のありそうなネタだなと思えた人は筆者と同じくらい編入学試験の嗅覚があります。
冗談はさておき。「円安」ほどわかりにくい経済用語は無いと思いますが、要するに「困ります」。イイですか?、「円安は困ります。」、覚えてください。理由として、「自動車会社など日本の輸出産業が原産地規制を理由に生産拠点を海外に移転したから」を絶対に書けるようにしてください。アメリカ合衆国に移転した自動車工場で、雇用した労働者に賃金をドルで支払うのに、1ドル100円なら30万円でよかったはずなのに1ドル150円では45万円でやっと話がつくことになります。
注意点として、「海外のほうが人件費が安い」は絶対に言わないほうがいいです。なぜなら、テーマが「円安」だったから、いまここでは「輸出産業」の話をせっせとしているわけです。ズバリ、輸出産業が直面しているのは「原産地規制」と言って、アメリカで売るならアメリカで作らないと関税をかけてマーケットで不利にするよ、という規制のことです。トランプ政権の時代に、アメリカは日本に対して、自動車は部品にも原産地規制80%(部品に至るまで80%以上が、アメリカ、カナダ、メキシコの三ヵ国内で製造しなきゃいけないよ)と交渉してきたことがありました。Tシャツやパーカーなどファーストファッションがそうなんですが、国内向け製品であれば、日本国内で売り買いされるものであれば、無限に人件費の安い国を目指していけるんですが、輸出産業となると事情が違います、安く作って安く売ろうとしても関税でトントンにされるのがオチなのです。
キーワード
- 投機的な動き:1ドル100円のときに円をドルに替えて、1ドル150円のときにドルを円に替えれば1ドル当たり50円儲けることができます。もっと円安になるぞ!きっともっと円安になるぞ!と大勢が予想すると、ズドンと円安になるぞ!
- 為替介入:日本政府が、日本政府なりに持っていたドルを、円に替えて円安に仕向けること。
- 平成不況以来の低金利政策:1%未満。100万円預けても毎年千円ちょっとしか増えていない。日本の銀行に預金口座を持っておく必要があるのは日本で働いている人以外だと、ちょっと考えにくいのかな?
- インバウンド需要:2022年10月11日以降、コロナ禍で制限されていた訪日観光客のビザなし渡航や個人旅行が再開しました。日本で遊びたいからドルを円に替える!元を円に換える!あると思います
- 国際金融のトリレンマ:次の三つが同時に実現することはない。
- 自由な資本移動:円をドルに替えたりすること。
- 独立した金融政策:低金利政策のようなことを中央銀行がしたりすること
- 為替の安定:その真逆の出来事が今回の円安
自由な資本移動と独立した金融政策はアメリカ合衆国だってやっているのに不公平だ!なんでだ!
- FRBの急速な利上げ:アメリカ合衆国は、日本と逆で、高金利政策に打って出ているということ。もっと言うと、日本みたいなメに遭わないように高金利政策を追従した国は多いんです。