金融論:金融の役割

金融取引

金融取引とは、①現在の購買力(要は現金)と、②将来時点で一定の条件に従って購買力を引き渡すという約束(金融商品、金融手段、金融資産)を、交換すること。

所得と支出の時間パターンの変更

現在の所得を将来に持ち越すこと、または、将来の所得を先取りして支出に充てること。これら二つは金融取引が利用可能な場合に実行できる。ここで時間パターンとは、「過去」、「現在」、「将来」の三つを想定する。所得の時間パターンと支出の時間パターンを乖離させて、安定した支出を図ることができれば、そのような余地のない場合よりも個々の経済主体の厚生水準は改善されるだろう、…という考え方でもって金融取引を有意義なものと考えることができる。

ダニエル・パウ太

所得があるときそのオカネで支出をするのではなく、現在の所得を将来に支出したり、将来の所得を現在に支出したり、ということ。

ダニエル・パウ太

所得≠オカネ。所得ってオカネのことでしょ??と思っていると、金融論は辛い。どこかで破綻する。
リスクエクスポージャの変更

各経済主体がどのようなリスクに直面しているかという状態(risk exposure)を変更する機会を、金融取引は与えることができる。疾病で所得減も保険に入っていれば収入が補填される、保険に入っているのならば健康なときに保険料を支払っている。保険料は現在の購買力から支払われ、保険金を支払うとは購買力を引き渡す約束そのものである。

ダニエル・パウ太

リスク≠危険。リスクって危ないってことでしょ??と思っていると、金融論は辛い。どこかで破綻する。

金融商品おける「一定の条件」に様々な事情を組み込むことで、多様なリスクの移転を図ることができる。

履行確保の必要性

金融商品は購買力の提供を約束するものであるが、一般的に約束の履行を確保するためには保有者側に一定の努力が必要である、この必要性を「事後の履行確保」と呼ぶ。

  • モニタリング:資金調達者の行動を継続的に監視する
  • コーポレート・ガバナンス(企業統治):効率的な経営が行われるように経営者を規律づける
不履行処理の重要性

不履行を引き起こした主体に責任をとらせ、ペナルティを与えることで、履行の動機付けとする。

ダニエル・パウ太

事前の情報獲得。金融取引に関わり合いになる経済主体について、情報を得て、評価することが必要になる。履行の確からしさを判断するために不可欠なことになってくる。
価格情報の提供面での意義

市場で形成される資産価格は、(それ自体が)人びとの意思決定に重大な情報になってきている。ただし市場で形成される資産価格が市場参加者の持つ情報を反映しているかどうか、(そういった意味で適切な値付けがされているものかどうか)は、金融論の「情報効率性」というトピックスになった。

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