経済史:グローバル・ヒストリー

ヨーロッパ中心主義史観(Eurocentrism)

ヨーロッパ中心主義史観(Eurocentrism)とは、ヨーロッパを中心とする視点や価値観に基づいて、歴史や文化を解釈する傾向や態度を指します。これは、ヨーロッパの歴史や文化が他の地域よりも重要で優れているという考え方に基づいています。

ヨーロッパ中心主義史観は、かつてヨーロッパが世界の中心であった時代に根ざしており、その時代の成果や発展が他の地域よりも重視される傾向があります。これは、植民地主義や帝国主義の時代に特に顕著でした。ヨーロッパの覇権的な地位が他の文化や文明よりも優れているとされ、その文化や価値観が普遍的であると考えられてきました。

しかし、近年では、このような視点に対する批判が強まっています。多文化主義やポストコロニアリズムの観点から、ヨーロッパ中心主義史観は他の文化や文明の貢献を無視し、差別や偏見を助長する可能性があると指摘されています。そのため、より多様な視点や文化を尊重し、歴史や文化をより包括的に理解する必要性が強調されています。

ヨーロッパ優位の30の要因

「ヨーロッパ優位の30の要因」は、歴史学者ジェレミー・ブラウト(Jeremy Black)が提唱した、ヨーロッパが世界的に優位に立った要因を示すリストです。以下にその要因をまとめます。

  • 地理的条件: ヨーロッパは地理的に恵まれており、多様な地形や気候を持ち、海洋へのアクセスが容易である。
  • 人口と都市化: ヨーロッパは他の地域よりも高い人口密度を持ち、都市化が進んでいた。
  • 政治的構造: ヨーロッパの政治的構造は多様であり、競争と革新を促進した。
  • 社会的構造: ヨーロッパの社会的構造は多様であり、人々が自由な行動や発展を追求できる環境を提供した。
  • 技術革新: ヨーロッパは科学や技術の発展に貢献し、産業革命を引き起こした。
  • 軍事力: ヨーロッパの軍事力は他の地域よりも強力であり、征服や植民地支配を可能にした。
  • 資源の利用: ヨーロッパは豊富な天然資源を利用し、経済発展を促進した。
  • 海洋力: ヨーロッパは世界中の海洋に進出し、海洋交易を拡大した。
  • 商業的統合: ヨーロッパは商業的な統合を推進し、市場の発展と経済成長を促進した。
  • 技術的統合: ヨーロッパは技術的な統合を推進し、産業の進化と発展を促進した。
  • 政治的統合: ヨーロッパは政治的な統合を推進し、安定性と発展を促進した。
  • 経済的統合: ヨーロッパは経済的な統合を推進し、競争力と繁栄を促進した。
  • 文化的統合: ヨーロッパは文化的な統合を推進し、知識や情報の交流を促進した。
  • 宗教的統合: ヨーロッパは宗教的な統合を推進し、倫理や価値観の共有を促進した。
  • 教育の普及: ヨーロッパは教育の普及を推進し、知識や技能の向上を促進した。
  • 資本の形成: ヨーロッパは資本の形成を促進し、投資と経済成長を促進した。
  • 市場の発展: ヨーロッパは市場の発展を促進し、商品やサービスの交換を促進した。
  • 法の発展: ヨーロッパは法の発展を促進し、秩序と安定性を促進した。
  • 国際的関係: ヨーロッパは国際的な関係を促進し、外交と協力を促進した。
  • 諸制度の発展: ヨーロッパは諸制度の発展を促進し、統治と行政を促進した。
  • 知識の普及: ヨーロッパは知識の普及を促進し、文化と文明の向上を促進した。
  • 言語の普及: ヨーロッパは言語の普及を促進し、コミュニケーションと交流を促進した。
  • 文化的交流: ヨーロッパは文化的な交流を促進し、多様性と創造性を促進した。
  • 宗教的交流: ヨーロッパは宗教的な交流を促進し、寛容と理解を促進した。
  • 教育の交流: ヨーロッパは教育的な交流を促進し、知識と技術の共有を促進した。
  • 技術の交流: ヨーロッパは技術的な交流を促進し、革新と発展を促進した。
  • 資本の流通: ヨーロッパは資本の流通を促進し、投資と成長を促進した。
  • 市場の流通: ヨーロッパは市場の流通を促進し、需要と供給の調整を促進した。
  • 人々の流動: ヨーロッパは人々の流動を促進し、労働力の移動と活用を促進した。
  • アイデアの流通: ヨーロッパはアイデアの流通を促進し、創造性と革新を促進した。

これらの要因が組み合わさり、ヨーロッパが世界的な経済的、技術的、政治的な優位性を獲得したとブラウトは主張しています。

フランクのリオリエント(”Reorient: Global Economy in the Asian Age”)

フランクのリオリエント(”Reorient: Global Economy in the Asian Age”)は、経済史学者アンドレ・グンダー・フランク(Andre Gunder Frank)によって提唱された著書のタイトルです。

この書籍は、従来の西洋中心の歴史観に対抗し、アジアが世界経済の中心であった時代に焦点を当てています。フランクは、16世紀から18世紀にかけてのアジア諸国(特に中国やインド)が世界経済において中心的な役割を果たしていたと主張しています。

フランクは、リオリエントの時代において、アジア諸国が豊富な資源、先進的な技術、広範な商業ネットワークを持っていたことを強調しています。また、アジア諸国の間での経済的相互依存が、世界経済の動向に大きな影響を与えていたと主張しています。

この著書は、従来の西洋中心の歴史観に挑戦し、アジアの経済的重要性を再評価することで、グローバルな視点から世界経済の歴史を理解しようとする試みです。

銀のブラックホール

「中国は銀のブラックホール」という表現は、中国の歴史的な経済活動に関する特定の側面を強調するために使用される比喩的な表現です。具体的には、中国が歴史的に銀の需要が非常に高かった地域であり、外国からの銀の流入が多かったことを指しています。

16世紀から19世紀にかけて、中国では紙幣が広く使用されていましたが、銀は依然として重要な貨幣として使用されていました。中国では、商品の取引や税金の支払いに銀が必要であり、その需要は非常に高かったため、中国は世界で最大の銀の需要国でした。

中国では、銀が国外から輸入され、大量の中国の商品が銀で支払われるという流れが生まれました。これにより、外国からの銀の流入が大きくなり、中国は銀の蓄積地となりました。このような状況から、「中国は銀のブラックホール」という表現が生まれたと考えられます。

「大いなる分岐」(Great Divergence)

「大いなる分岐」(Great Divergence)は、経済史において18世紀から19世紀にかけてのヨーロッパとアジア(特に中国やインド)の経済的、技術的、政治的な差異を指します。この分岐が生じた原因については複数の理論が提唱されていますが、その中でもエネルギー革命とマルサスの罠の観点から説明することができます。

  • エネルギー革命: エネルギー革命は、18世紀後半から19世紀初頭にかけてヨーロッパで起こった技術的革新と産業の変化を指します。主な要因として、蒸気機関の発明や石炭の利用の普及が挙げられます。これにより、ヨーロッパの生産性が飛躍的に向上し、産業革命が推進されました。一方で、アジアではこのようなエネルギー革命が起こらず、農業中心の経済構造が維持されました。この技術的な進歩による経済構造の変化が大いなる分岐を引き起こしたとされます。
  • マルサスの罠: マルサスの人口理論によれば、人口は指数関数的に増加するが、食料生産は線形的にしか増加しないため、人口が食料生産能力を超えるという状況が生じる可能性があります。これを「マルサスの罠」と呼ばれます。ヨーロッパでは、エネルギー革命により農業生産性が向上し、食料の供給が増大しました。一方で、アジアでは技術的な革新が限られており、農業生産性が向上しなかったため、人口増加による食料不足が問題となりました。この人口と食料生産の関係が大いなる分岐を説明する一因とされます。

以上の要因から、エネルギー革命による技術的進歩と食料生産の増大がヨーロッパとアジアの経済的な差異を生じさせ、大いなる分岐が発生したとされています。

参考文献

『一般経済史 (MINERVAスタートアップ経済学)』 河崎信樹 (編集), 奥 和義 (編集)

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