長期における購買力平価と為替レートの関係を簡潔に説明しなさい。
解答例
まず購買力平価とは、A国の物価Pa、B国の物価Pbで、B国通貨を売ってA国通貨を買う際の為替レートがPa/Pbになるだろうという考え方(より詳細を言えばこれは一物一価法則を前提とする絶対購買力平価説)である。ここで「長期における」とは、たとえばt期にマネーサプライMが増加したとしても、物価Pがその後に調整され実質総貨幣供給量がt-1期にいつか等しくなったt+j期を想定せよを意味し、つまり物価が伸縮的であるとしながら、購買力平価に従い為替レートが決定される世界を考えることができる(c.f.伸縮価格のマネタリーモデル)。ここでt-1期からt+j期までの間を想定すると、たとえば均衡利子率の低下で為替レートが上昇する(c.f.利子平価説、exchange rate overshooting)など購買力平価から為替レートの乖離した世界を考えることができる。また現実には貿易・非貿易部門間の労働生産性の相違などあり経済成長を遂げている国などで購買力平価からの長期的な乖離は観測されうる。
参考『コアテキスト国際金融論』藤井英次著