時計の針に手錠をかけて


▲足利学校正門

栃木県足利市にある足利学校。同市の有力な観光資源である。日本一古い学校として社会科の教科書にも載っている。近所のお年寄りの姿もある。遠方からコスプレをして参観しにくる人もいるらしい。GWの家族連れに道案内を頼まれたこともある。足利学校とは観光スポットと地域コミュニティが融和した足利市の財産である。


▲大日様のところにある公園。この時間帯でも誰もいない

しかし足利市で子ども達の戯れる姿をみられる場所も20年、30年経って本当に限られてきた気がする。子どもに限った話でもなく平日駅前は老人、30代からみかけない、二人組もまずいない、ぞろぞろと若者が出てきたと思えば専門学校からすぐ近くのコンビニに吸い込まれていく。


▲祖母とよく行く料理屋「ポルカ」隠れた名店

さて散歩のついでにコンビニでコーヒーを買って帰ると「どこで買ったんだい?」と尋ねられた。90歳になる祖母は歩いて5分もしないところにあるコンビニを知らなかった、先に見つけてしまった。本当になんでも揃う近隣のスーパーマーケットを一つ知っていて、そこで事足りるのも手伝っているのだろう。しかし祖母の活動範囲は確実に狭まっている。


▲足利女子高校共学化に伴って解体される市民会館

足利市は一時、アウトレットモールの建設候補地にその名が挙がったことがある。地域経済の活性化が大きくPRされ、要は地域の目玉を新たにつくろうというプロジェクトだった。しかし足利市には足利学校が既にあるだろう。そういう理由で実際に建設されたのは佐野市だった。そしていま佐野市の中心市街地は空洞化が進んでいる。巨大なライバルの襲来でデパートすら撤退してしまった、その速さたるや事前の計画だろうとまで言われるほどだ。もしも足利に建っていたら、祖母の行きつけのスーパーも危なかったのではないか、祖母は歩きだが、客のほとんどが車両で来るからだ。いわゆる買い物難民という問題だが、祖母は助かったのかもしれない。


▲大日様

母の実家もあることだし足利に住もうと思ったことは何度かある。仕事で行き詰ったり、山形や群馬に引っ越して行った旧友の結婚など聴いたりしたときだ。東京の仕事はレベルが高い。埼玉の仕事は、物流が一番典型的だが、基本的に東京が「一度食べたモノ」が配られる。仕事があって、物価に対して充分な収入が得られるなら何も悪くないと本気で思えるのだ。その線で行くと本当に地域を振興したければ仕事、失業を生まないことが大切なのは言うまでもないんだろうなと思うし、生活のクオリティと言うのも要は「買い物」そのものだと思う。


▲渡良瀬川の渡良瀬橋



▲母が私を産んだ産婦人科医院


▲秘密基地ごっこにうってつけだった公園


▲この規模の公共施設が閑散としている



▲吹き抜けるような道路

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