過去問・関西大学政策創造学部(3年次編入試験・2019年度)

ピグー税について説明した上で、その問題点について論述しなさい。

解答の着想

1.
ピグー税とは、たとえば生産に伴って汚染(公害)が発生する財、供給量が1単位増えるごとに限界的にある社会的費用が生じる財について、たとえばその社会的限界費用に相当する金額を課税することで、あくまで市場機構で最適な社会的余剰を達成する、そのための方策である。

2.
ピグー税に関する典型的な議題は下記である。
ピグー税は社会的限界費用を知らなければ実施できず、知っていたのならば社会的余剰を最適にする供給量を計算できる。ならばその水準で供給量を直接規制すればよく、税制をいじる必要はないのではないかという疑問が生じる。

3.
この疑問についての典型的な解釈は下記である。
汚染による被害を被る側は「そのような被害を受けない権利」を持ち、その権利を売って現実の汚染を許している。だとしたら社会的見地から汚染する側は、それを買うべきである。

4.
なお「ピグー税は社会的限界費用を知らなければ実施できない」という根本的な問題も無視できない。たとえば地球温暖化のように社会的費用の計算が困難な事例は多い。こうした議論は、現代の環境税または炭素税に援用されているボーモル=オーツ税への橋渡しとなる。

【参考:『入門ミクロ経済学』(著)ハル・R・ヴァリアン,(監訳)佐藤隆三】
【参考:『ミクロ経済学・入門』(著)柳川隆,町野和夫,吉野一郎】

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