過去問・法政大学経営学部(3年次編入試験・2018年度)

我が国を含む多くの国において、タバコに対して高い税金が課されている。この事実の妥当性についてミクロ経済学の考え方を以下のキーワードを用いて論じなさい。(一部改訂)

コース、ピグー、均衡、社会的費用、交渉、税収、余剰、取引量

解答の着想
1.
タバコの市場における需要曲線Dと供給曲線Sを考え、その均衡における取引量をQ、消費者余剰と生産者余剰の和をWとおく。さて煙害など喫煙には外部不経済があり、供給量に伴って限界的に社会的費用が発生する。ここでタバコの社会的限界費用が定数cだとして、社会的余剰をW – cQと記すとしよう。
いまにcに相当する分だけタバコに税が課せられ価格が上昇したとする。これをピグー課税という。課税後の供給曲線S’をグラフ(横軸が取引量、縦軸が価格)で記すと、DS’均衡はDS均衡より左にある。そのときの取引量をQ’とおく。ここで消費者余剰と生産者余剰の和をW’とおき、税収をTとおくと、課税後の社会的余剰は W’ + T – cQ’ と記すことができる。

2.

ここで (W’ + T – c Q’) – (W – cQ) >0であるから、課税前後で社会的余剰は増大する。こうしたミクロ経済学的な考え方を用いればタバコに対する高い税金には一定の妥当性が見いだせる。

3.
なおコースは、課税ではなく、社会的費用を発生させる側と被る側の交渉を、外部不経済の解決方策として提唱した。しかしタバコの煙害は、そうした意味での当事者が、不特定多数に及ぶため課税による解決が望ましいと思われる。

コメント
iQosはどうなんでしょうね^^;

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