近年、毎年のように世界各地で異常気象や海面上昇、巨大台風の発生などといった自然災害が多発しています。これらの一因として、家庭や企業などが排出する二酸化炭素による地球温暖化現象が挙げられています。こうした世界規模の環境問題に対して、経済学はどのような役割を果たし、どのような提言が可能だと考えますか。あなたの考えを論じなさい。
解答の着想
1.地球温暖化(温室効果ガス)への対策とは、たとえば海面上昇であれば、温室効果ガスの排出量を減らす(温暖化を可能な限り防ぎ海面上昇がなるべく起きないようにする)対策と、堤防等を築く(温暖化が進行し海面上昇が実際に起きてしまったとしても予想されていた問題(浸水など)こそ起きないようにする)対策と、大きく二つがあり、それぞれ「緩和策」と「適応策」と呼ばれている。
2.「経済学はどのような役割を果たし、どのような提言が可能だと思いますか」、とは日本大学経済学部の出題としては過去5年間を遡ってもほぼ毎年出題されるテーマ。ミクロ経済学の考え方を用いるならば、ズバリ、どのような市場(マーケット)をつくりだす(デザインする)ことで解決に貢献できるだろうか、マクロ経済学の考え方を用いるならば、ズバリ、どのような財政(公共事業、補助金と税収)でもって解決に貢献できるだろうか、のいずれかを考えることが、一番早道(というか易難度の解答例)になる。
緩和策 | 適応策 | |
市場 | 排出権取引 | 民間建設業者による入札(受注/発注) |
公共事業(補助金) | 代替エネルギー研究開発 | 建設 |
市場をつくりだすとは、売手と買手が出会い、財・サービスを取引する場(それは物理的な市場(いちば)であったり、オンラインのオークションであったり様々である)を、売手(あげたい)と買手(ほしい)のためにつくってあげるということだ。当然、何を取引する場が早急に求められるだろうかを考えることになる。
財政とは、消費税や公共料金でもって、国民あまねく税を徴収したり、当該公共事業の受益者に負担してもらうなどして、公共事業を支えるということだ。当然、どのような公共事業が早急に求められるだろうかを考えることになる。