観光とメディアの関係性が今後どのように展開するかについて、あなたの考えを書きなさい。
解答例
2006年8月公開の日本映画「UDON」とは、現実の讃岐うどん(香川県)を舞台とする架空の物語である。タウン情報誌が、讃岐うどんの取材を繰り返した結果、全国から香川県に巡礼者(c.f.聖地巡礼)のようなトラベラーがやってくる物語である。重大な作品解釈として、混雑で地元常連客が離れてしまい、閉店に追い込まれる店が出始るシーンが中終盤にあった。情報カスケード理論とは、情報を得た人間の行動を、情報を得ていない人間が模倣することで、実際に情報を得た人数より大きなムーブメントが起きる現象の理論である。作品の中では、すべてのトラベラーがタウン情報誌を握ってやってくる描写がなされていたが、現実のメディアが留意すべきことは「そうでない人びと」の来客があるということだと思う、つまり作中の描写よりも現実にはもっと混雑してしまうのではないか。ここでインターネット上のライブコンテンツとは、非常に速報性の高い情報伝達であると思われる。現地のトラベラーからライブコンテンツとして発信される情報は、視聴者に一定のデジャブを与えたり、一定の倫理観を喚起させるのに役立っていると思う。ツーリズムを消費するという概念的な解釈の幅は「UDON」公開当時と比べて現実に確実に広がっている。