社会学:コンヴィヴィアル・テクノロジー

『コンヴィヴィアル・テクノロジー 人間とテクノロジーが共に生きる社会へ』緒方壽人 (著)

まずは書籍紹介になります。必読は第三章「人間とデザイン」です。他は著者の先生(緒方嘉人)の深淵なるお考えだなぁと思われるので読みたければどうぞというオススメ感になります。経済学系編入学試験では「人工知能が雇用を奪うか」と言う典型的な文脈があり一足早く出題もありましたが、社会学系でこの手の話題をするとしたら「コンヴィヴィアル」という文脈になってくるのではないかと思われます。

情報化社会以前の科学技術とは人類の物理的な能力を拡張するものであった、しかし情報化社会で、コンピュータ、AI、そういった科学技術は人類の知性的な能力をも拡張するものである。ここで緒方氏は、新しい科学技術を「道具の範疇を超えた他者と呼べるような存在」として考えてはいかがかと言う、そのパラダイムは「テクノロジーと人間を完全に分けて考えることが不可能になった」というものである。誤解して欲しくないのは情報化社会の到来でもって「不連続」にそのようなパラダイムを迎えたというよりは、むしろ、新しい科学技術が受容されていく過渡期に様々なデザイン(たとえばラジオであればアンティークに似せたもの)が試される事実に注目し、そのようなパラダイムは既に「人間を動かすデザイン」という形で確かに存在していたというのである。以前から科学技術は、どこか人間に配慮してきたものなのだと言う。そのうえで知性的能力までもを拡張するのであれば、人間の方から自発性や主体性をもってして、それこそ「道具の範疇を超えた他者」としてコンヴィヴィアルな関わり合いをしていかなければならないと言う。

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