国際関係!徹底マスター用語解説:貿易②

貿易利益
外国の価格が国内価格よりも高ければその商品を輸出し、逆に安ければ輸入する。これによって貿易利益を得ている。アダム・スミスも絶対優位の考え方の提唱をもってこれを述べた。その後にデヴィッド・リカードが、各国が比較的優位にある財を輸出しあうことで、貿易がない状態よりも、生産も効率化し、消費できる量も増えると指摘。そして各国が比較優位のある財に特化することで、貿易利益が得られるというのが、伝統的貿易理論と言われている。しかし、どの程度の貿易利益が得られるのかを明らかにするのは難しいとされている。

比較優位
経済学者であったデヴィッド・リカードが提唱した概念で、貿易理論における最も基本的な概念である。比較優位とは、貿易する自国と相手国の生産力の比較で、二カ国がそれぞれ特化すべき産業を特定する考え方である。

品物a 品物b
A国の人 1日で2kgつくれる 1日で2kgつくれる
B国の人 1日で4kgつくれる 1日で6kgつくれる

上の表で、品物aも品物bも、A国よりもB国のほうが、生産力が高い。このときB国は、aについても、bについても、絶対優位である。しかしB国は、品物bを6kg生産する機会を犠牲にしても、品物aを、その2/3にあたる4kgしか生産できない。それに対してA国は、品物bを2kg生産する機会を犠牲にして、品物aを、その100%にあたる2kg生産できるのである。ここでA国とB国で分業が可能であれば、A国でaを、B国でbを生産することに一定の合理性を考えることができる(実際にその合理性があるかはより複雑な数式の問題になるため割愛)。
比較優位はアダム・スミスが提唱した絶対優位の概念を柱とする学説や理論を修正し提唱された。自由貿易において各国は自身の優位な分野に特化、刺集中することにより、労働生産性が増し、互いにより高品質の財やサービスと高い利益・収益を享受・獲得できるようになること説明している。絶対優位と比べ、より精度の高い自由貿易・分業の説明となっている。

ヘクシャー・オリーン貿易理論
スウェーデンの経済学者ヘクシャーとオリーンによって明らかにされた。A国、B国という2つの国があり、A国はB国に比べ機械設備(資本)が多く、B国はA国に比べ人口(労働力)が多い場合、A国は豊富な資本を用いて「資本集約的な財」をより多く生産。B国は豊富な労働力を用いて「労働集約的な財」を生産するという理論である。日本は資本集約的な生産(ハイテク品など)が得意であり、人口の多い中国は労働集約的な生産(衣服など)が得意という事実が例である。

キーワード解説

品物a 品物b
A国の人 1日で2kgつくれる 1日で2kgつくれる
B国の人 1日で4kgつくれる 1日で6kgつくれる

A国の人よりB国の人のほうが、品物aも品物bもたくさんつくることができます。A国の人もB国の人も、午前中(最初の2時間)に品物aをつくって、午後(後半の6時間)に品物bをつくるのであれば、A国にはa 0.5kg, b 1.5kg、B国にはa 1kg, b 4.5kgが出来上がっていますね。もしもA国とB国がとても仲良しであれば、あわせてa 1.5kg, b 6kgが出来上がったことを喜ぶかもしれません。ここで、もしもそのように、最後にお互いの生産物を合算する前提なのであれば、もっとたくさんつくる方法がありますね。それはA国の人が一日中品物aをつくって、B国の人が一日中品物bをつくることです。するとあわせて a 2kg, b 6kgが出来上がります。品物aも品物bもB国の人のほうが得意なのに互いに特化したほうが良い結果になるかもしれないのですね。
これは貿易で品物aと品物bを交換する場合を考えたとしても似たような結論になるかもしれませんよ。少しだけ話を戻してA国にはa 0.5kg, b 1.5kg、B国にはa 1kg, b 4.5kgが出来上がっていたとします。B国でつくられた品物bはA国のほうが、高値で売れるかもしれません。A国でbは、B国の1/3しか出回っていないので、高値がついて、B国はbを、自国BよりA国に売りたがるかもしれません。もしかしたらA国も、交渉次第で、品物bをB国内価格とさほど変わらない価格で輸入できるかもしれません。さらにもしかするとA国内でbを自給するより安上がりになるかもしれないですよね。そのような公算の行きつく先として上述の「特化」に辿り着くかもしれないわけです。

※国際関係!徹底マスター用語解説で、用語は、国際関係のファカルティの編入学試験で出題された過去問題から選んでいます。

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