過去問・大分大学経済学部(3年次編入試験・2023年度)

国土交通省によると、道の駅は2022年2月9日までに1194駅が登録されています。道の駅の機能について触れたうえで、道の駅が増えていく理由を述べ、さらに道の駅に期待される新しい役割について、あなたの考えを述べてください。

解答の着想
道路交通の円滑な「ながれ」を支えるため、一般道路にも安心して自由に立ち寄れ、利用できる快適な休憩のための「たまり」空間が求められている。【引用:国土交通省ホームページ】

道の駅は、主に国道または県道沿いに設置され、道路利用のための設備(駐車場、トイレ、道路情報ターミナル、休憩所)とレジャー、観光のための施設等から成る。道路利用のための設備については、当該道路管理者(国または県ほか)から補助が得られる。高速道路と隣接するハイウェイオアシスと言う形態もある。

群馬県藤岡市のハイウェイオアシスららん藤岡は、市の通年滞在型観光地づくりの一環として登録された道の駅だ。滞在型観光とは、一定の地域に宿泊し、体験型レジャーなどを楽しむ観光スタイルだ。バスツアーなどで複数の観光目的地を巡る周遊型観光とは異なる。滞在日数の少ない観光は通過型観光と呼ばれる。藤岡市は、市を季節によらず長期滞在の観光客で賑わう街(観光地)にするため、この道の駅を設置したのだと言える。ららん藤岡では、地元野菜の販売や地場産の食材を使った多彩な料理を提供している。上州麦豚コロッケ、上州牛、下仁田ネギやカブ等が手に入る。

かつて藤岡市は人口増加を背景に公共サービス需要が増え、かつ多様化した。しかしその後老朽化した公共施設の維持管理の問題が起き、さらに人口減少に転じたため市の財政が危ぶまれている。それは長期滞在する観光客の獲得を目指す理由だ。長期滞在の観光客獲得は、たとえば岐阜県飛騨市なども同様の課題に取り組んでいるから、地方の市町村には比較的典型的だと思われる。
統計で見ると、道の駅は中山間地域に多い。日本最大級のサービスエリアである海老名サービスエリアの敷地面積が6ヘクタールなのに対して、たとえば道の駅うつのみやろまんちっく村の敷地面積は46ヘクタールと広大だ。用地獲得が市街地に比べて有利なぶん、地域おこしの手法になっているのだと思われる。

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