過去問・東北学院大学経営学部経営学科(3年次編入試験・2023年度)

選択問題の一つ
企業の不祥事が相次いで発覚しているが、その事例を提示しながら自身の考えを述べなさい。

解答例
大王製紙事件は、2011年に発覚した背任事件である。創業家出身の当時の代表取締役会長が、グループ会社から106億円にのぼる資金を不正に引き出し、個人でカジノの遊興に流用した事件だ。この特別背任罪の犯人である当時の会長は、逮捕後に懲役刑(実刑)で服役し、さらにその後に出所した。出所後にメディア露出したさい「製紙業界は斜陽産業」「(もともと資産があり)事件をきっかけに株を売って現金の資産を増やした」と自身の考えを打ち明けた。これらは不祥事の背景ではないかと思う。有名な松下幸之助氏が「企業は社会の公器」という経営理念で松下電器(パナソニック)のコンプライアンスの基礎をつくったことと大王製紙事件は対照的だ。企業は私物ではなく社会的責任のある組織である。出所後に「売れるうちに売れてよかった」と言うニュアンスの発言があったことは特筆に値する。大王製紙(大王グループ)は、サステナビリティ・ビジョン(持続可能性)のゴールに向けた取組みを中核的責任とする大企業だ。スキャンダラスな不祥事は、たとえば企業の中核的責任の認知度、達成度を停滞させる形でもってステークホルダーに不利益が有り得る。

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