はじめに
学校生活の中で、給食の時間は子どもたちにとって大きなイベントの一つです。しかし、偏食や少食の子どもたちにとって、この時間が苦痛に感じられることがあります。特に、過剰な完食指導が行われる場合、子どもたちが給食の時間を恐れるようになり、不登校や会食恐怖症といった深刻な問題に発展することもあります。親として、このような事態を防ぐためにどのように対応すればよいのでしょうか?
3つの手紙
食育カウンセラーであり、一般社団法人日本会食恐怖症克服支援協会の代表理事である山口健太さんは、親が取るべき具体的なステップとして「3つの手紙」を提案しています。この記事では、その「3つの手紙」の内容と、それをどのように活用するかについて詳しくご紹介します。
1. 報道記事を先生に見せる
子どもが給食をうまく食べられない場合、その原因が過剰な完食指導にあることを伝えるため、まずは関連する報道記事を先生に見せます。報道記事は、記者が取材に基づいて書いた客観的な情報であり、親や先生の主観を排除した形で問題を伝えることができます。
例えば、「過剰な完食指導が不登校や会食恐怖症につながる」という内容の記事を先生に見せることで、先生自身が問題の重大さを認識し、指導方法を見直すきっかけを作ることができます。親としては、子どもが置かれている状況を先生に理解してもらうための一つの手段として、この手紙を活用することが重要です。
2. 文部科学省の指導の手引を示す
次に、文部科学省が発行している『食に関する指導の手引(第二次改訂版)』の「指導上の留意点」を先生に示します。この手引の第6章「個別的な相談指導の進め方」には、指導の際に守るべき9つのポイントが記載されています。
- 対象児童生徒の過大な重荷にならないようにすること。
- 対象児童生徒以外からのいじめのきっかけになったりしないように、対象児童生徒の周囲の実態を踏まえた指導を行うこと。
- 指導者として、高い倫理観とスキルをもって指導を行うこと。
- 指導上得られた個人情報の保護を徹底すること。
- 指導者側のプライバシーや個人情報の提供についても、十分注意して指導を行うこと。
- 保護者を始め関係者の理解を得て、密に連携を取りながら指導を進めること。
- 成果にとらわれ、対象児童生徒に過度なプレッシャーをかけないこと。
- 確実に行動変容を促すことができるよう計画的に指導すること。
- 安易な計画での指導は、心身の発育に支障をきたす重大な事態になる可能性があることを認識すること。
これらのポイントを先生に示すことで、指導が適切に行われているかどうかを確認し、必要に応じて改善を求めることができます。この手紙は、親が子どものために行動する際の強力なサポートツールとなります。
3. 「我が子の食のトリセツ」を渡す
最後に、親が作成する「我が子の食のトリセツ」を先生に渡します。これは、子どもがどのようにすれば食べられるか、またどのようにすれば食べられなくなるかを具体的に書いた取扱説明書です。先生も食べられない子に対しどのように対応すればよいのかが分からないことがあるため、具体的な指示を提供することが重要です。