はじめに
ヤングケアラーに対する国や自治体の支援が初めて法律に明記されたことは、日本における大きな一歩です。今月5日に成立した「子ども・若者育成支援推進法」の改正法によって、ヤングケアラーが正式に支援対象として認識されるようになり、支援の充実が期待されています 。
ヤングケアラーとは
ヤングケアラーとは、家族の介護や世話をしている子どもたちのことです。日本の中学生のおよそ17人に1人がヤングケアラーであるとされています 。彼らは親や祖父母の介護、家事、精神的サポートなどを日常的に行っており、その負担は非常に大きいものです。ヤングケアラー支援の団体である日本ケアラー連盟は、彼らを支えるための法的根拠ができたことを「とても大きな意味を持つ」と評価しています 。
法改正の意義
今回の法改正では、ヤングケアラーが「家族の介護、その他の日常生活上の世話を過度に行っていると認められる子ども・若者ら」と定義され、18歳以上の若者も含めて支援対象とすることが明記されました 。この法的枠組みにより、国や自治体が予算を確保し、支援体制を整えることが可能になります。支援団体は、地域間の支援格差の解消に期待を寄せています。
課題と今後の展望
一方で、「過度に」という定義が支援の対象範囲を狭める可能性があるとの懸念もあります 。そのため、実態調査を行い、具体的な支援や制度の在り方をさらに検討する必要があります。日本ケアラー連盟の田中悠美子さんは、ヤングケアラーに対し、悩みを大人に相談するよう呼びかけています 。
具体的な支援活動
実際にヤングケアラーが行っているケアの内容としては、話を聞く（感情面のサポート）、見守り、家事（食事の準備や掃除、洗濯）、買い物や散歩に一緒に行くなどが挙げられます 。これらのケアは身体的な介護だけでなく、精神疾患を抱えた親族の話し相手や家事なども含まれており、多岐にわたる支援が求められています。
今回の法改正を機に、ヤングケアラーに対する支援が強化されることが期待されます。具体的な支援策の整備とともに、彼らの負担を軽減し、安心して生活できる環境を整えることが求められます。
