ジャイロポッポ

都内渋谷。
日曜日。
フットサルコートでひとり練習をする男がいた。

顔。
虚勢をはるでもない凛とした表情。
水泳の金メダリストにいただろうか。
自負心が自然と顔に出て凛々しい。

しかし。
肝心のフットサルが。
高校の部活レベル。

それでも一目も憚らず。
メダリストのような顔つきで練習している。

日本人の感覚。
彼はどんだけ自信満々なのかと。
あの程度を見せびらかしちゃって。

そこへ中学生たちがやってきて。
言った。
一緒にやりませんか。

彼は。
混ざった。
試合をした。

やはり高校の部活レベルの彼。
しかし中学生に対する指導というか。
接し方が非常にこなれていて丁寧だった。
プロの指導員を想起させる物腰だった。

やがて。
中学生の一人がきいた。
何年くらいやられているんですか。

彼は。
少し照れ臭そうに言った。
サッカーボールを蹴ったのは5歳の時だよ。
アニメが好きだった。
キッカーズっていう。
キャプ翼より前にでたアニメだよ。

中学生は。
知るわけなかったが。
たくさんサッカーの話ができた。

中学生は。
数ヶ月後のサッカー雑誌で。
彼を見つけた。

たった1ページ。
「新感覚蹴球!ジャイロポッポ〜日本人の挑戦〜」
サッカーとは似て非なるジャイロポッポというスポーツが。
紹介されていて。
日本人の第一人者として。
彼が紹介されていた。
彼は。
今。
日本ジャイロポッポ界では太陽神と呼ばれているそうだ。

ちなみに。
ジャイロポッポとはサッカーボールを蹴り。
如何にボールにジャイロ回転を与えながら。
吊るされたバナナにギリギリまで接近させられるか。
その芸術点を競う。

確かにジャイロ回転と軌道の美しさは凄まじかったな。

おしまい

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