過去問・北海道大学法学部(3年次編入試験・2015年度)

問題1 権利濫用の禁止について
問1これはどのようなものか、またどのような機能を果たしているか具体的に述べなさい。(30点)
問2この法理の問題点を挙げて説明しなさい。(20点)

権利濫用の禁止についてよくわかる判例として宇奈月温泉事件が有名です。ある急傾斜の土地に温泉の引湯管があり、土地の所有者と温泉の所有者が別人だったことで、土地の所有者が土地の買取、あるいは引湯管の撤去を、温泉の所有者に求めた話です。急傾斜の土地を所有していることで得る土地所有者の利益と、引湯管を撤去することで被る温泉所有者の損失を考えた結果、原告である土地所有者の訴えは退けられます。このように権利濫用の禁止は「権利行使者の利益と相手方の不利益の客観的利益衡量」が重大です。
権利濫用の具体例として「無効とされる蓋然性の高い特許権に基づく権利行使」というものがあります。特許侵害の警告や訴訟を受けた際に、既存のある特許権(A)と原告の特許権(B)において進歩性の乏しさを主張することで「(いま無効でなくても)Bは無効とされる蓋然性が高い特許権」として、権利濫用の禁止を働かせ事なきを得る方策があります。特許権の付与から生じた衝突を折衝するように機能していると思えます。
しかし同時にBの権利者(原告)は、自分なりに苦心した発明を否定された形になりますから痛手となります。もしもこうした権利濫用が濫用されれば、特許権の付与が形骸化します。こうした問題点のある法理であることは留意したいです。

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