2018年9月ごろから2019年3月ごろまでの米露日中印パ

※以前に国際関係を学ぶのコーナーに掲載していた記事です。

※新聞記事を中心に参考にしながら書いたまとめです。
※まだ書籍等の文献が過少なので専門家による検証が未着手と思われます。ご注意ください。

■印パ関係(参考:2019年3月2日毎日新聞紙面など)
ヒマラヤ山脈とカラコルム山脈に挟まれた山岳地帯。カシミール地方はインドとパキスタンが領有権を争い、どちらの国の土地かはっきりしていない地域だ。ここで2月14日に自爆テロが起きインド治安部隊員40名が犠牲となった。インドは自爆テロを実行した武装組織がパキスタンの支援にあるとし、さらに武装組織のキャンプがあるという理由で、26日パキスタン北東部のバラコットを空爆した。バラコットは明確なパキスタン領であり、パキスタンの首都イスラマバードから100キロメートルほどしか離れていない。
インド軍機がパキスタン領空に侵入したのは1971年以来のことだ。なおインドの初核実験は1976年、パキスタンの初核実験は1998年であるから、両国が核保有して以来、初めての領空侵犯である。軍事衝突自体はカシミール地方で1999年にカルギル紛争を経験している、もちろん国際社会に大きな緊張が走った事件だ。インドは5月に総選挙を控えており、与党は対パキスタンで強硬姿勢を示すことで支持基盤であるヒンズー至上主義団体の支持拡大を狙っていると、毎日新聞は洞察する。
ヒンズー至上主義団体を支持基盤とする連立政権の誕生は1998年3月である。それ以前は世俗的なインド・ナショナリズムを体現した一党優位体制であったが、1990年代にヒンズー・ナショナリズムが台頭し、最終的に政権を明け渡した。なかでも「強いインド」を掲げたインド人民党(BJP)が躍進した。そして20年間インドは宗教的右派が政権を握っている。

■米パ関係(参考:2018年9月16日毎日新聞紙面など)
先日、アメリカはパキスタンへの軍事援助停止を踏み切った。アフガン反政府勢力にしてテロ擁護組織であるタリバンをパキスタンが支援しているためだ。アメリカはアフガン和平交渉(アフガン政府vs.反政府勢力)を進める立場にあり、それに差し障るとした。
パキスタン在住でアフガニスタンに詳しいイムティアズ・グル氏は、アフガニスタンの長期的な和平にかえって逆効果であると指摘する。こうしたアメリカのやりかたはパキスタンの中露イラン接近の動機になり、パキスタンの国際関係を不安定にする。そして反政府勢力タリバンへ影響力のあるパキスタンの国際関係が不安定になれば、とりもなおさずアフガン情勢が不安定になるという論調だった。
アメリカとパキスタンの関係性。1979年の旧ソ連アフガニスタン侵攻に対して協調。旧ソ連の撤退後は核開発疑惑を理由に制裁。2001年に9.11が起こると対テロ戦争で再び協調。

■米印関係(参考:2018年9月4日毎日新聞紙面など)
今月6日に開かれる外務・防衛担当閣僚会議で、アメリカとインドは、インド太平洋地域情勢および安全保障について議論する。中国とロシアを競合国に位置付けるアメリカは、安全保障上の優先事項としてインドとの連携強化を目指す。インドも南アジアでの中国の影響力拡大を警戒してアメリカとの連携を強化したい。
しかしインドは、空軍整備を進める中国への防空網強化として、ロシアからロシア製ミサイル防衛システムを購入予定。またイラン制裁にも消極的だ。米印は対露、対イランで明確な温度差がある。

■ロシア(参考:2018年10月4日毎日新聞紙面など)
インドがロシア製地対空ミサイル防衛システムS400を導入することが正式に決まった。S400のレーダー網で戦闘機の飛行データがロシアに漏れるとアメリカは懸念している。合同軍事演習をする国や米軍基地のある国へのS400供与。アメリカはこれを一切無視できない。ロシア製S400供与はアメリカと親米国との外交関係にくさびを打つ役割もあるのではないか。ロシアは、対中国で関係強化中のインドに続き、さらにNATO加盟国のトルコに供与の予定だという。

■日中露関係(参考:2018年9月13日毎日新聞紙面など)
ロシア極東で開催中の東方経済フォーラムにて。全体会合に出席したプーチン大統領と習近平国家主席は経済協力など今後の友好関係を強調した。トランプ政権の保護主義的な経済政策への批判が背景にある。
プーチン大統領は2028年から新たな極東開発計画を始めると言及し、中国、韓国、モンゴルの各国首脳に向け、相互の利益を謳いながら極東経済開発への協調を呼び掛けた。さらに中国が極東で30以上の開発事業を進めていると謝意を表明する場面もあった。これを受けて習氏も中露関係について「歴史上で最良の時期にある」と述べた。
日本からは安倍晋三内閣総理大臣が出席していた。プーチン大統領は日露平和条約の年内締結を呼び掛けた。これをうけ菅官房長官はロシアが実効支配する北方4島について言及しながら、平和条約の締結に向けた粘り強い交渉をする姿勢を強調した。1956年の日ソ共同宣言において日露平和条約の締結後には歯舞群島と色丹島を日本に返還すると合意があった。プーチン大統領は以前から宣言の有効性を尊重しつつも平和条約の締結には積極的でなかった。

■米軍アフガン撤収(引用;2019年1月27日毎日新聞紙面)
(引用)内戦下のアフガニスタンで和平に向けて交渉を続けていたトランプ政権と旧支配勢力タリバンは26日、協定締結後18カ月以内に米軍が撤収するなどで一定の合意を示した模様だ。(中略)この協定案には、18カ月に米軍など駐留外国部隊が撤収することのほか、タリバンが国際テロ組織「アルカイダ」や過激派組織「イスラム国」(IS)に国土を使用させないと保証するなどが盛り込まれる見込み。米軍の撤収は段階的に行われる可能性が高い。(おわり)

■ロシアのアフガン干渉(参考:2019年2月5日毎日新聞紙面)
現地からの米軍撤収を軸に、アフガニスタン情勢の混乱は大いに予想され、ここで中央アジアへの飛び火を警戒するロシアがアメリカに代わってタリバンとアフガン政府の和平協議を促していく姿勢をみせている。アメリカはどこかタリバンに肩入れするロシアのアフガン関与の方策には批判的だ。

※「印パ対立」と「アフガンをめぐる米露対立」の伝統的不和はこちらの書籍で確認できます。上で説明したような国際情勢の最新動向(あるいはそれに匹敵する知識)は流石に編入学試験では不要(手前味噌ですがレベルが高すぎる)ですが「印パ対立」と「アフガンをめぐる米露対立」は受験生も知っておいたほうが良いと思います。なぜなら隣接国家間対立と大国間対立のメカニズムとして典型的だと思うからです。そのメカニズムを理解しておくとリアリズムなど理論を把握するのに助けになるはずです。私がそうやって勉強してきたので。

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