国際関係!徹底マスター用語解説:途上国開発⑤

国際開発援助レジーム
レジームとは、「ある問題領域における秩序および規範やルールの体系」という意味。今日の開発援助の世界は、グラントによる無償の援と、ODA(政府開発援助)のカテゴリーに含まれる、譲許的な融資(金利が低く返済期間が長く援助的色彩の強いもの)に分類でき、この両者を含んでいるものを指す。また、援助・融資機関として、世界銀行や国連関係組織のような国際機関によるものと、二国間のドナーによるものに分けられる。

金融包摂
貧困や難民などに関わらず、誰もが金融サービスへアクセスでき、金融サービスの恩恵を受けられるようにすることを意味する。途上国地域で暮らす貧困層の人々の中には、金融に関する知識の不足や与信力が原因で金融サービスへのアクセスが得られず、結果として貧困サイクルから抜けられないという問題を抱えている人が多い。こうした貧困層に対して少額の融資をするマイクロファイナンスは、フィナンシャル・インクルージョンの一つである。

コンディショナリティ
発展途上国がIMF(国際通貨基金)に救済融資を仰ぐとき,IMFがその国に課す条件を指す。一般に救済融資を求めた当該国に対して、適切な経済再建計画の策定と実施を約束させる。進国の民間金融機関は、債務不履行の危険が増加したため、IMFのコンディショナリティに相応した分の追加融資にのみ応じるケースが増えてきている。ブラジルやアルゼンチンなどの重債務国で債務軽減措置を適用されないのは、このコンディショナリティを満たしていないためである。

援助氾濫
発展途上国では経済成長のため、先進国からさまざまな援助を受けている。援助を受けた国はその援助プロジェクトの成果や業務を報告しなければならない。その報告業務の数が膨大になり、かなりのリソースを費やすこととなった。先進国による多数の支援プロジェクトの存在が、受入国の政府の管理能力を超え、援助の効率性が阻害されてしまう状況を表す言葉である。アフリカを中心に深刻化していると言われている。

援助依存
先進国が発展途上国に提供する支援プログラムに頼りきってしまうことを指す。結果、経済成長できないまま国として自立できず、貧困は改善するどころかかえって悪化してしまい、悪循環を引き起こすと言われている。特にアフリカ諸国では長年にわたって依存体質から抜け出せず、援助以外での開発資金を賄う方法を見出す必要がある。また援助する先進国も近年、高失業率や財政難、経済の低成長に苦しんでいるため、いつまでも援助に依存するわけにはいかない状況である。

インフォーマル・セクター
経済活動が行われている場合、その経済活動が行政の指導の下で行われておらず、国家の統計や記録に含まれていないようなものをいう。発展途上国における経済活動で多く見られることであり、貧民とされる者によって行われている。農業など伝統部門から工業を中心とする近代部門への労働力流出の結果、雇用機会に恵まれず雑業的な個人サービスに従事する余剰労働力が都市に滞留する。特に発展途上国の場合、低賃金、低生産性、不完全就業によって特徴づけられる部門の拡大が顕著である。

DAC(開発援助委員会)
経済協力開発機構(OECD)の委員会の一つである。先進国が開発途上国に対して行う経済協力を促進させるために必要な協議や意見の交換、援助量と内容に関する定期的検討および援助政策の調整などを行う機関である。OECD加盟国36カ国のうち29カ国と欧州連合(EU)により構成される。前身は1960年に設立された開発援助グループ(DAG)で、1961年のヨーロッパ経済協力機構(OEEC)からOECDへの改組に伴い、DAGは解消してDACとなった。

※国際関係!徹底マスター用語解説で、用語は、国際関係のファカルティの編入学試験で出題された過去問題から選んでいます。

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